海の祭礼
英語が日本で必要になったのはいつの時代だったのか?
昔の人はどのように語学を身に着けていたのだろうか?
このようなことに興味を持っているのであれば、「海の祭礼」(吉村 昭)がおすすめです。
価格:880円 |
わたくしもこの本の存在は知っていたのですが、メルカリで安く売られているので、購入してみました。
江戸時代末期の通訳士
ご存じの通り、江戸時代は長期にわたり日本は鎖国政策で、長崎の出島以外での外国との接触は一切ご法度。
それも接触・交易が許されていたのは、中国とオランダだけ。
このような状況の中、長崎で活躍していたのは、オランダ語と中国語の通訳士(当時は通詞と呼ばれていた)達でした。
彼らの語学能力は抜群で、オランダ語に関しては、オランダ人が簡単するほどの完璧かつレベルの高いオランダ語を操っていたそうです。
また、通訳業は家業となっており、親から子にその技術を残しておりました。
通訳の実力と実績に応じて、稽古通詞、小通詞、大通詞などの位が決められていたそうです。
英語通訳者がいない
鎖国が完璧に機能している間は、オランダ語と中国語の通訳士がいればよかったのですが、幕末のころになると、列強国がこぞって日本にやってくるようになります。
北海道にはロシア、そのほかの地域でもフランスやアメリカの船も訪れるようになり、通商を求め始めます。
その背景にあるのが、当時大儲けが期待できる捕鯨ビジネス。
日本近海で大量の鯨が捕獲できるということで、特にアメリカの捕鯨船が日本近海で漁をするようになり、薪や水の補充、水難時の救助を求めるようになりました。
幕府側も、各国の軍事力を恐れてできるだけ丁重に扱うようにするのですが、扱う数が増えてきて、長崎だけでは対応できなくなってきます。
それに加えて、英語を話せる通訳士がおらず、増えつつあるアメリカ漂流民や訪問者への対応が大きな課題になってました。
オランダ通訳士が新たに英語を学ぼうと思っても、英語を話せる外国人が日本には存在しないため、苦慮したそうです。
この本では、漂流してきたインディアンの血を引くアメリカ人を保護しているうち、彼自身も日本語を学びたい意欲があることと、ほかの乱暴なアメリカ人と違って態度もいいということもあり、この人物を英語の講師として利用し始めます。
国の将来を背負うことになった通訳士の努力と、このアメリカ人講師との日常の触れ合いなどが細かに描写されており、その当時の英語を学ぶことに対する姿勢や異文化交流への戸惑いや感動が伝わってきます。
最終的には、努力の結果英語力を磨き上げて、のちに来航するペリーとの交渉にも奉行として立ち会うまでになります。
現在の英語勉強環境
この本を読むと、現代の私たちも同じく英語の必要性を感じて日々勉強しておりますが、その当時と比べると、はるかに恵まれた学びの環境があることが実感できます。
英語の書籍も音声も溢れかえっております。
ぜひ一読いただき、英語勉強の新たなモチベーション向上に役立ててもらいたいと思います。



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